Nasic Release ナジックリリース | 教育界における注目テーマごとに、各界の有識者の方々のご意見・ご提言を掲載した提言誌

ナジックリリース最新号のご案内

ナジックリリース第25号<BR>(2014年9月1日発行)

特集:「キャンパス進化論」

 

ナジックリリース バックナンバー

すべてのバックナンバー

 

ナジックの学校支援事業


よりよい教育環境の創造を目指して。学校・教育機関のみなさまに対するナジックのサポートはさまざまな分野に広がっています。

学生マンション・学生寮の管理運営
全国の大学・専学校との提携を
活かした募集活動
留学生支援ワンストップサービス
「Nasic Release」の発行
就業体験・アルバイト情報
・就職情報の提供

 

学校・教育機関のみなさま
向けメニュー一覧

学校経営・ガバナンス

新名古屋キャンパスは「第二の創学・建学」の第一歩 (愛知大学 学長・理事長 佐藤元彦)

愛知大学 学長・理事長
佐藤元彦 Motohiko Sato

愛知大学は2012年4月、名古屋駅至近の「ささしまライブ24地区」に新名古屋キャンパスを開校させる。これに伴い、豊橋、車道を合わせた三キャンパスの位置付けを明確にし「第二の創学・建学」とも言うべき大変革を推し進める計画だ。佐藤元彦学長・理事長にキャンパス再編の狙いとビジョン(第三次基本構想―次を拓く愛大2015)をお伺いした。


 

名古屋市のグレーターナゴヤ・イニシアティブ(GNI)と大学の理念が合致

──「新名古屋キャンパス」の開校まであと1年になりました。新キャンパス開校に至る背景や経緯をお聞かせください。

佐藤学長・理事長(以下、敬称略) 1946年11月に中部地区唯一の旧制法文系大学として豊橋市で開学した愛知大学は、創立当初から名古屋市進出が長年の夢でした。

中国・上海に設置された日本最古の海外高等教育機関・東亜同文書院大学の学籍簿を受け継ぎ、同大学を前身とすると言っても過言ではない経緯で誕生した愛知大学は、開学以来「世界文化と平和への貢献」「国際的教養と視野をもった人材の育成」「地域社会への貢献」を建学の精神に掲げ、多岐にわたる改革を推進してきた歴史があります。

名古屋市進出というその思いは、開学から数年後の51年に名古屋市中心部の車道に校舎を開設することで実現しましたが、年を追うごとに手狭になり、当時の工場等制限法の規制もあり88年、名古屋市郊外の三好町(現みよし市)に名古屋キャンパスを開設したのです。

豊橋キャンパスとの距離や交通の利便性などで様々な問題がありましたが、三好でありながら名古屋キャンパスと命名したところに名古屋に対する強い思いがあったのです。

今回、名古屋市のグレーターナゴヤ・イニシアティブ(GNI)の一環として、ささしまライブ24地区の再開発構想が持ち上がり、念願の名古屋キャンパス実現に向けて取り組みを始めたわけです。

名古屋市は「国際歓迎・交流拠点」の形成と「にぎわいのある複合型のまちづくり」構想を推進するため、ささしま地区の再開発に着手し、その計画に賛同する事業体を募ることになったのです。

同市は当初、大学の誘致を選択肢として検討していなかったようです。しかし、常時にぎわいをつくり、ささしま地区を国際化の玄関にしたいという、名古屋市の開発コンセプトが、愛知大学の建学の精神や実績、将来ビジョンと合致したため、コンペの参加資格を得たのです。2007年秋にはコンペ参加を機関決定し2008年1月15日に本学の案が採択されました。

各キャンパスの使命を明確化し大学の総合的な発展を実現

──新名古屋キャンパス開設後の体制、各キャンパスの特色に関してお聞かせください。

佐藤 新名古屋キャンパスを開設するに当たり2012年度以降は現在の名古屋キャンパスを閉鎖し、豊橋、車道を含めた3キャンパス体制になります。

大規模な学生と教職員が移動することになりますので、これを機にこれまで曖昧だった各キャンパスの特色やミッションを明確に打ち出していきたいと考えています。

具体的には、新名古屋キャンパスを「国際化への貢献拠点」、豊橋キャンパスを「地域社会への貢献拠点」、車道キャンパスを「高度専門職業人の育成拠点」と位置付ける方針です。

まずは2011年度、豊橋キャンパスが変わります。人文・社会科学領域への多角的なアプローチによる教育研究の発展を目指して、文学部に六つのコースが設置されるのと同時に、地域政策学部が開設されます。

同キャンパスは三遠南信地域連携センターをはじめ3つの地域研究機関が設置され、地域への貢献に力を入れています。地域政策学部の開設で、地域社会への貢献拠点としての豊橋キャンパスの特色がいっそう発揮され「地方の時代」の先駆者としての本学に、大きな期待をいただいています。

2012年度になると新名古屋キャンパスに法学部、経済学部、経営学部、現代中国学部、国際コミュニケーション学部が移転し、約7,000人が学ぶ一大拠点が形成されます。

現代中国学部と国際コミュニケーション学部を同キャンパスに移転させるのは、先にも述べた、国際化への貢献を視野に入れているためです。

一方、法学部、経済学部、経営学部を新名古屋キャンパスに集約するのは、これらの学部が、かつて法経学部としてまとまっていたという本学の歴史的背景があるのです。

1988年の三好キャンパス開校後3学部に分離したのですが、当初は各々の教員がキャンパス間を行き来し、他学部の科目が学べるなど、相互協力体制が取られていました。

しかし、時の経過や時間・距離などにより、協力体制も徐々に希薄になっていったのです。本学は公務員試験の合格者が多いことで知られますが、これは多様な学問の習得と地域への貢献を大切にする本学の理念によるところが大きいのです。

3学部が再び1つのキャンパスに集まることで、相乗効果が創出され統合力が高まることを期待しています。

高度専門職業人育成をベースとする車道キャンパスには、以前からある専門職大学院(法科、会計)に加え、大学院五研究科を集約します。

また、名古屋駅から電車で8分という地の利を生かして、社会人のリカレント教育やシニア向けの講座も充実させる予定です。

──環境都市・名古屋市に竣工するだけあり、新名古屋キャンパスは、環境にも十分配慮した設計になっているとお聞きしています。

佐藤 新名古屋キャンパスは、キャンパスの地下に地域冷暖房のプラントを設置し、それを周辺の建物に供給していくシステムになっています。

また、二期工事では、高層の建物の中に風を通す穴が開けられます。これは、ビル風対策であると共に、その風を冷暖房にも活用していくという発想です。もちろん、屋上緑化なども計画しています。

愛知大学は早くから環境を重視した教学体制を整備してきました。新名古屋キャンパスにおいても「環境」を念頭に置いた研究・教育を実践し、地域社会に貢献していきます。

「第二の創学・建学」を通じて世界に発信する大学へ

──人文社会科学系の総合大学として確固たる地位を築きつつありますが、真の総合大学へと発展するためには、理工系学部の開設も必要ではないでしょうか。この点についてどのようにお考えでしょうか。

佐藤 冒頭で述べた通り、愛知大学は中国との学術・教育交流に先進的に取り組み、多くの実績を重ねてきました。しかしながら、最近は他大学でも理系、特に工学系が主体となって急速に中国との関係を深めており、人文社会科学系の大学である本学の特色が十分に生かされていないのも事実です。

実は、創立時に関係官庁に提出した書類に「将来の計画」という一節があり、そこでは農学部と水産学部の設置についても言及しています。創学の地、豊橋キャンパス周辺は日本でも有数の農業生産地でもあり、最近は工学を農業に生かした取り組みも進んでいます。

他大学との連携も視野に入れながら2020年代の初めごろには、理系を含めた総合大学化を実現したいと考えています。

──キャンパス移転を機に大きな転換期を迎えられますが、学生募集という観点からも、新名古屋キャンパスの開校は大きな意味を持つのではないでしょうか。

佐藤 本学は伝統的に、三重県、岐阜県からの進学者が多かったのですが、名古屋駅から時間がかかるなど、立地条件を理由に進学者が減少する傾向にありました。

しかし、新名古屋キャンパスが名古屋駅から徒歩約10分の距離にできることなどから、移転発表後のこの2、3年は着実に受験生が増えています。2010年3月は、一般入試の志願者数が約10年ぶりに15,000人の大台を超えました。今年度の公募制一般推薦入試についても、前年比で50%も増えています。

──佐藤学長は「第二の創学・建学」が必要だと強調されています。大学の将来像について、お聞かせください。

佐藤 ささしまライブ24地区は、周辺にJRセントラルタワーズ、ミッドランドスクエアなどの高層ビルが立ち並び、様々な開発計画が進行している、経済、交通の要所です。

その主要拠点に新名古屋キャンパスを開校することや、既存学部の再配置などを契機として「第二の創学・建学」を推し進めていきたいと考えています。大事なのは、今こそ愛知大学はどういう大学としてスタートしたのかを、再認識するときだということです。

私立大学では、常に建学の精神に基づいた改革が必要です。「世界文化と平和への貢献」「国際的教養と視野をもった人材の養成」「地域社会への貢献」という建学の精神がどのような思いを持って定められ、大学としてスタートしたのか。

東亜同文書院大学を前身としますが、そのほか、海外の旧制大学、旧制高校からの入学者も大勢いました。そのような創立時の経緯からすると、東京大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学などと並び得る大学として開学したと認識しています。

愛知大学は、今や新司法試験や公務員試験の合格者数、中国に関する研究・教育では、全国有数の実績を誇り、ある調査では2010年の学部別就職率ランキングにおいて、本学の経営学部が全国トップになっています。

これらの実績を基にしながら、人文社会科学系の総合大学である本学の評価を、まずは全国に、そして海外に広めていきたいと思います。

愛知大学の「愛知」は、地名を冠したものではなく、実は「知を愛する」として命名されたことや、初代の学長が慶應義塾大学の塾長経験者だということもあまり知られていません。

これらの本学の伝統や特色を全国にそして世界に、積極的に発信していくのと同時に、教育と研究をいっそう充実させ、本学の強みをさらに磨いていく。

その結果が、地域社会への貢献、世界文化と平和への貢献に繋がり、世界から注目される大学に変革し、成長を遂げていくのです。

佐藤元彦(さとう もとひこ)

1958年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。89年、広島大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。特殊法人日本学術振興会特別研究員(PD)、愛知大学経済学部助教授、教授、経済学部長・理事、副学長、学長代行などを歴任し、2008年8月から現職。

大学改革提言誌「Nasic Release」第22号
記事の内容は第22号(2011年5月1日発行)を抜粋したものです。

 

ナジックリリース第22号・記事一覧

未来を見据え希望を持って人生を歩んでいくための力を育む (文部科学省 高等教育局 局長 磯田文雄)


日本経済の持続的発展には若年層の活力が不可欠 (経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室長 高橋直人)


「スマートで強靭なグローバル一橋」で世界ONLY ONEを目指す (一橋大学 学長 山内 進)


豊かな社会の実現を担う思いやりのある人材の養成を目指す (広島大学 学長 浅原利正)


全人教育を通じて複眼的視野を持った「世界市民」を養成する (関西学院大学 学長 井上琢智)


21世紀の日本の活路を拓く実践型イノベーション人材を育成する (芝浦工業大学 学長 柘植綾夫)


社会のために役立つ人材を建学の理念で養成する (明治学院大学 学長 大西晴樹)


地の利を最大限に活用し世界を舞台に活躍する人材を輩出する (学校法人青山学院 理事長 半田正夫)


新名古屋キャンパスは「第二の創学・建学」の第一歩 (愛知大学 学長・理事長 佐藤元彦)


レポート ナジックのロゴが京都・都大路を駆け抜けた 全国高等学校駅伝競走大会